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円空仏に見る鉈彫りの妙技
鬼子母神 全国行脚の末の唯一無二の一体
鬼子母神(観音堂・羽島市)

 円空は、美並村でいくつもの仏像を創作した後、北海道・東北へ渡ります。その後、一旦、美並村に足を止め、今度は西へ進路を取りました。その際にどういうわけか法隆寺へ立ち寄っています。もちろん修業の一環には違いないのでしょうが、いずれにしても、奈良へ立ち寄ったことで、円空仏で唯一とされる鬼子母神を制作しています。作風としては、まだ全体的にていねいな作りで初期段階のスタイルといえるでしょう。しかし、この鬼子母神には、大きな特徴があります。それは、左右対称の垂衣を着ていることです。法隆寺で飛鳥仏や天平仏に親しんだのでしょう。この頃を境にして、左右対称の衣紋や飛鳥様式の像をしばしば見ることができるようになります。

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